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観劇記/2月 [観劇記/2006年]

『アンナ・カレーニナ』 ル・テアトル銀座
 ミュージカルを演劇としてきちんと成立させようという野心作。
 ドラマに比重を置いた配役も良く、私はとても楽しんだ。そして感動した。音楽も上品でエレガントで、舞台の使い方もスマート。キャストは隅々まで人物になりきっており、演出の鈴木裕美さんはとてもいい仕事をしたと思う。幕開きの、雪の中を列車が行くシーンが抜群に格好いい。

『屋根の上のヴァイオリン弾き』 日生劇場
 私は演出助手時代、森繁久彌さん、上条恒彦さん、西田敏行さんの3人のテヴィエと付き合った。その思い出の作品のニュー・ヴァージョン。4代目のテヴィエは市村正親さんである。
 新演出になり美術が一新された。立体的で美しいシーンも多いが、使い勝手の悪いシーンも散見される。時間短縮の為に台本やスコアを細かく刈り込んでいるのだが、肝心の芝居のテンポが上がらない。依って、全体的にはセンチメンタルに流れてしまい、惜しい。

『OH ダディ!』 東京芸術劇場
 台本も音楽もオリジナルの意欲的なミュージカル・エンタテインメント。
 だが肝心の台本の脇が甘く、演出も焦点を絞りきれていない。なので、主人公の「旅」に付き合おうとする観客の意欲が殺がれてしまう。楽曲も1つ1つはチャーミングなのだが、プロットの中での役割が中途半端なので盛り上がりきらない。達者な出演者たちのお陰で退屈はしないのだが。


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コメント 2

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柴犬陸

はじめまして。
あの『浪人街』の山田和也様のブログと知って、ビックリしております。
『浪人街』、血糊がかかる特等席で楽しませていただきました。ついでに、wowowでの放送もチェックさせていただきました。

ところで私、もともとジテキンの鈴木裕美さんのファンでして。といっても、このところご無沙汰していました。
「アンナ・カレーニナ」の彼女の演出、観たかったです。
by 柴犬陸 (2006-03-05 23:06) 

山田和也

柴犬陸さん、コメントありがとうございました。それと血しぶき席でのご観劇も。あれからもう2年かあ。
最近の裕美さんはミュージカル付いていて、次作『フロッグとトード』もミュージカルですね。
何だかお株を奪われた感じ・・・。
by 山田和也 (2006-03-06 05:25) 

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