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観劇記/2006年 ブログトップ

観劇記/3月 [観劇記/2006年]

韓流ミュージカル『ジキル&ハイド』 五反田ゆうぽうと
 あのミュージカルの韓国版。舞台美術や演出など、ブロードウェイ版のモロぱくりなのだが、権利関係とか、どうなっているのだろう? 日本で、私の名前でこれをやったら訴えられるよ。
 歌唱力のある俳優も中には居るが、クラシカルな唱法が混ざるなどアンサンブルの層は厚くない。台詞バックの音楽が無神経に途切れたり、全体の洗練も今一歩。ただし、パワーは感じる。クォリティのアップとオリジナリティの確保が韓国ミュージカルの今後の課題か。

PARCO歌舞伎『決闘!高田馬場』 PARCO劇場
 近代劇が排除して来た芝居の「嘘」。その復権を目指す大娯楽作。
 いつもの三谷色はやや薄いが、歌舞伎と思えば不満は無い。それでも三谷君らしい捻りは随所にあり、歌舞伎と三谷作品の幸福な結婚という感じ。何より役者たちの奮闘が心地よい。
 告知されていたのと違って全編が疾走感で貫かれている訳では無かったが、その分歌舞伎の良さが出た。高田馬場へ向かう事になってからのあれよあれよが見事で胸がすく。

山下幼稚宴『オバケな人生』 TEENS PRAZA FUJIMIDAI
 日芸の教え子(4月から2年生)
が仲間たちと作ったミュージカル。
 脚本も演出も拙いが、入場料500円に免じて許す。会場も本格的な劇場ではないが、やりたい事はヒシヒシと伝わってくる。ストーリーを論理的に構築する事とキャラクターにリアリティを持たせる事が今後の課題。そして、誰の視点でドラマを進めるのかにも注意を払いたい。
 11年前、帝劇で仕事をした子役さんが立派になって参加していた事に感動。

『カクエイはかく語りき』 ザ・スズナリ
 渡辺哲さんの芸能生活30周年を記念する1人芝居。
 超満員のザ・スズナリ、1時間ちょっとの小品だが私は大いに楽しんだ。哲さんの繊細かつ豪快な演技と、希代の政治家の強烈な個性がない交ぜになって、スリリングなのにユーモラス、と言う不思議なドラマとなった。現代からあの時代を見る滑稽さと、あの時代から現代を見る不気味さ!
 客席に綿貫民輔氏の姿が。スズナリで第70代衆院議長、ちょっと不思議な感覚であった。


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観劇記/2月 [観劇記/2006年]

『アンナ・カレーニナ』 ル・テアトル銀座
 ミュージカルを演劇としてきちんと成立させようという野心作。
 ドラマに比重を置いた配役も良く、私はとても楽しんだ。そして感動した。音楽も上品でエレガントで、舞台の使い方もスマート。キャストは隅々まで人物になりきっており、演出の鈴木裕美さんはとてもいい仕事をしたと思う。幕開きの、雪の中を列車が行くシーンが抜群に格好いい。

『屋根の上のヴァイオリン弾き』 日生劇場
 私は演出助手時代、森繁久彌さん、上条恒彦さん、西田敏行さんの3人のテヴィエと付き合った。その思い出の作品のニュー・ヴァージョン。4代目のテヴィエは市村正親さんである。
 新演出になり美術が一新された。立体的で美しいシーンも多いが、使い勝手の悪いシーンも散見される。時間短縮の為に台本やスコアを細かく刈り込んでいるのだが、肝心の芝居のテンポが上がらない。依って、全体的にはセンチメンタルに流れてしまい、惜しい。

『OH ダディ!』 東京芸術劇場
 台本も音楽もオリジナルの意欲的なミュージカル・エンタテインメント。
 だが肝心の台本の脇が甘く、演出も焦点を絞りきれていない。なので、主人公の「旅」に付き合おうとする観客の意欲が殺がれてしまう。楽曲も1つ1つはチャーミングなのだが、プロットの中での役割が中途半端なので盛り上がりきらない。達者な出演者たちのお陰で退屈はしないのだが。


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観劇記/1月 [観劇記/2006年]

『Shoes On! 7』 博品館劇場
 久しぶりに観た『Shoes On!』は以前の印象より格段に洗練されていた。しかしこれでファイナルとは!
 何のしがらみもなく観たので素直に、そして大いに楽しんだ。彼らとは世代も近いので、やりたい事、やっている事が手に取る様に分かる。私だって、そもそもはこういうものがやりたかったのだから。ああ、ショーがやりたいなあ・・・。

『ベガーズ・オペラ』 日生劇場
 ジョン・ケアード渾身の一作。キャスト一同も製作陣も、その要求に良く応えた。日本側スタッフの仕事もクォリティ高く、随所に光るものがある。観客参加型でもあり客席は大いに盛り上がっていた。何よりチケットが無い事が素晴らしい。
 ただし、作品としては大きな問題をはらんでいる。肝心要の劇中劇構造が機能していない!

ラッパ屋『あしたのニュース』 THEATER/TOPS
 執筆の遅れが心配された鈴木聡さん率いるラッパ屋の新作。が、無事開幕。
 相変わらず誠実で、後味の良い舞台作りである。そしてここの役者陣は見事に化ける。作品毎にキャラも役所も、大したものである。この劇団が持っている洒落っ気とモラルが私は大好きである。


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