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MGMミュージカル(その1)/フリード・ユニット [雑感]

  MGMはハリウッドの黄金期を支えた映画会社の一つである。正しくはetro-oldwyn-ayerと言い、巻頭でライオンが吠えるのがトレード・マークの、あの映画会社である。

   この7月1日に、『バンド・ワゴン』『イースター・パレード』『ブリガドーン』『ベルズ・アー・リンギング』、そして『くたばれ!  ヤンキース』『フィニアンの虹』のDVDがワーナー・ホームビデオより発売された。
  いにしえのハリウッド製ミュージカルが一気に6本も発売になった訳であるが、この内の前者4本がMGM作品で、後者2本は、ミュージカル製作のもう一方の雄、ワーナー・ブラザースの作品である。

  無声(サイレント)だった映画に音が付いた(トーキー)1920年代の後半からの30年間、ミュージカル映画はハリウッドを代表する人気ジャンルであった。今ではミュージカル映画は滅多に製作されないが、当時は毎週の様にミュージカル映画が公開されていたのである。
  どの映画会社もミュージカルの製作には熱心だったのだが、質、量、共に群を抜いていたのはMGMであった。

   MGMには、アーサー・フリードと言う、生涯ミュージカル映画ばかりを製作し続けた伝説のプロデューサーがいた。上記の4本も全てフリードが手掛けた作品だが、その他にも『雨に唄えば』『巴里のアメリカ人』(アカデミー賞作品賞)『恋の手ほどき』(これまたアカデミー賞作品賞)『ショー・ボート』『アニーよ銃を取れ』・・・などなど、フリードの手になる作品を挙げて行くだけで夢の様なカタログが出来上がる。
  そのフリードの最大の功績は、若い才能を次々と発見し、彼等を一流の映画人に仕立て上げた事であろう。ジーン・ケリーを始め、ビンセント・ミネリやスタンリー・ドーネンなど、挙げ出せばこれもきりがない。多くはブロードウェイなどの劇場街からスカウトされた逸材だが、これらの人材を使ったフリードのミュージカル製作チームを「フリード・ユニット」と称したのである。

  ミュージカルの事は話に聞くより観て貰うのが一番手っ取り早いと思う。幸いな事に、MGMミュージカルの代表的場面を網羅したアンソロジー『ザッツ・エンタテインメント』のDVDも発売されている。
  『ザッツ・エンタテインメント』は、MGMが1974年に創立50周年を記念して製作したドキュメンタリー・タッチの大作で、これ1本でハリウッド・ミュージカルの歴史と仕組みを俯瞰する事ができる。この作品のエンド・クレジットの中で、アーサー・フリード(Arthur Freed)だけが特別にただ1人、1画面を費やされて掲載されて
いるのを見逃さないで戴きたい。

  私は、『ザッツ・エンタテインメント』が日本で公開された1975年の3月に「新宿ピカデリー」で観た。中学2年生だった私は、そしてその後の人生を誤った。私にとっては生涯忘れる事のできない、大切な大切な映画なのである。


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