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『ジキル&ハイド』通信 [日記/2005年]

11月16日(水)

 稽古の前に、マスコミの皆さんに『生きている』と『狂気~その目に』の2シーンを披露。その後囲みの取材。私は私でシアター・テレビジョン向けのコメント撮り。

 カメラクルーが撤収した後、改めて稽古。アクションの渥美博さんが登場し、ハイドが犯す一連の犯行を細かく整理。この一連はとにかく奇想天外で、初演をご覧になったレスリー・ブリカッス夫人が「世界のどこにもない」と、いたくお気に入りであった。
 渥美さんは、昨年の演劇界の話題を独占した『浪人街』の、あの演劇史に残る大立ち回りの一切を創造した人である。ドラマの中のちょっとしたアクションから『浪人街』の様な本格的な立ち回りまで、どんなシーンでも引き受けて、鮮やかなシーンを作り出してくれる。しかもちょっぴりユーモアを付け加えて。多彩な人である。

 アクション絡みの一連を終えた後は、昨日当たった2幕の中盤をおさらい。順調な仕上がりなので、ご褒美に、早めに稽古を終える。

 公式ページの「製作レポート」が予想に反して(?)大変充実している。稽古の内容も微に入り細に渡り、しかも写真付き。こっちは少し楽させて貰おうかな。


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『ジキル&ハイド』通信 [日記/2005年]

11月15日(火)

 『生きている』、そして2幕の中盤をさらった後、手をつけていなかった2幕の後半を稽古。これで全ての場面をあたったことになる。

 鹿賀さんは、役柄にとことんのめり込むタイプの俳優である。『ジキルハイド』の場合、それが圧倒的な迫力となって観る者の魂を揺さぶるわけだが、一方それは、俳優自身がとても消耗するやり方でもある。
 なので、今回の我々の目標は「いかにして鹿賀さんをのめり込まさないようにするか」である。鹿賀さん自身も事ある毎に「楽にやらなくちゃ」と反省しているが、それが簡単にできるようならこんな目標立てないって。

 稽古後、鹿賀さんとマルシアさんは、フジテレビさんの『スーパーニュース』用コメント収録。実は明日の稽古の冒頭で、幾つかのミュージカル・ナンバーをマスコミの皆さんに披露するのだが、その様子と合わせて、明日(16日)の『スーパーニュース』(16:55~)でオンエアされるのだそうだ。

 明日の『スーパーニュース』と明後日の芸能情報番組をお楽しみに!


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『ジキル&ハイド』通信 [日記/2005年]

11月13日(日)

 歌を何曲かさらった後、ラストシーンを稽古。その後、1幕前半をおさらい。

 蘭々さんのエマが段々とそれらしくなってきた。蘭々さんは、今まで経験した舞台がどれもコミカルなものだったので、シリアスな作りの『ジキルハイド』がやや照れくさいのだそうだ。でも観客としては、シリアスなもの、暗い作品が好きらしい。
 普段の稽古場では不思議なユーモア全開の蘭々さんなのだが、ひとたびエマになると、それを封印してドラマティックな役柄になりきっている。

 明日は稽古OFF。なので、演出部の皆さんに振付助手の西祐子さんを加えて食事に。


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『ジキル&ハイド』通信 [日記/2005年]

11月12日(土)

 稽古はハイペースで快調に進んでいる。今日は一気に1幕の後半から2幕の前半までをあたる。

 演出家としては、『ジキルハイド』の稽古場は本当に楽しい。この場合の「楽しい」とは、充実している、と言う意味で、安楽な居心地の良さ、とは少し違う。いや、居心地はとても良いのだが、同時に緊張感があり、ものを作り出す真剣さがあり、前例に囚われない柔軟さがあり、そしてユーモアがある。
 それはつまり、キャストとスタッフの全員がそれぞれの道のプロなのだ、と言うことだと思う。芝居作りを真剣に考えている人たちが本気で芝居作りに没頭している。この稽古場の楽しさとは、そう言う種類の楽しさなのである。
 なので、私としては本当に楽しい稽古なのだが、その日の稽古を終える頃には結構ヘロヘロになっている。

 公式ページでは「製作リポート」が始まった。不定期の更新だが、写真入りなのでこちらも是非。


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『ジキル&ハイド』通信 [日記/2005年]

11月11日(金)

 顔寄せ。

 このブログの読者には最早説明は不要だろうが、公演関係者が一堂に会するセレモニーである。『ジキルハイド』は東宝、ホリプロ、フジテレビの3社共同製作なので、関係者の数もその分多く、とても賑やかな顔寄せであった。
 東宝の宮崎プロデューサーの司会により関係者とキャストが1人1人紹介され、主催者を代表して東宝の増田常務がご挨拶。そのご挨拶の中で、作曲のフランク・ワイルドホーンさんが初日に来日することが報告された。これは私も知らされていなかったことなので、びっくり、と言うか、嬉しい(!)、と言うか、どうしよう(?)、と言うか・・・。

 初演時の初日には脚本・作詞のレスリー・ブリカッスさんが来日し、観劇後「世界各地で上演されているジキルハイドの中で、今夜観たものが一番素晴らしい!」と絶賛してくださった。その夜、私はブリッカスさんご夫妻とひと時を過ごさせていただいたのだが、あの夜のことは私にとっては生涯の思い出である。

 さて、顔寄せの後はいつも通り稽古。「どん底」『生きている』『事件、事件』をさらった後、1幕中盤のハイライト、『時が来た』を含むジキル→ハイドの変身場面を当たる。それにしても『時が来た』は、何度聞いても本当に鳥肌が立つ。
 稽古の後は更に衣裳合わせとヘアのフィッティング。衣裳デザインの小峰リリーさんは顔寄せから終日付き合ってくださった。お疲れ様でした。


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『ジキル&ハイド』通信 [日記/2005年]

11月10日(木)

 午前中は所沢の日大芸術学部で授業。『ジキルハイド』の稽古場は墨田区なので、授業を終えるや否や東京縦断である。

 今日の稽古は『嘘の仮面』のおさらいを皮切りに、プロローグから、理事会、婚約披露パーティまで、物語の前半部分を当たる。

 ミュージカルの稽古とストレートプレイのそれとで決定的に違うのは、ミュージカルの場合、舞台上で起こる様々なアクションや登場人物の心の動きを、音楽の流れと同期しなければならないという所である。従って稽古の進行も、同じ場面を何度も繰り返し、細部を少しづつ調整しながら、と言う根気の要るものとなる。
 
今日のところはまだラフな、段取り優先の稽古だったのだが、それでも蘭々さんのエマや石川禅さんのアターソン、宮川浩さんのストライド、石山毅さんの将軍など、それぞれの個性が出ていて実に新鮮であった。


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『ジキル&ハイド』通信 [日記/2005年]

11月9日(水)

 昨日作った『事件、事件』の前半をさらった後、後半部分のステージング。更に『生きている』、「どん底」の表と店内をさらい、婚約披露パーティの招待客たちのワルツを振付けて終了。

  製作発表の際に行われたトークショーの評判が関係者の間では予想以上に良く、「あのまま終わらせるのは勿体無い」と言うことになり、少し形を変えてだが、公演期間中に2度のトークショーが行われることになった。詳細は 『ジキルハイド』の公式ページにアップされているので、興味のある方はご覧ください。

 もうひとつ宣伝。『ミー&マイガール』の公式ページもちょっとだけヴァージョン・アップされたので、よければこちらも覗いてみてください。どちらも東宝のホームページから入れます。


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『ジキル&ハイド』通信 [日記/2005年]

11月8日(火)

 ドラマ部分の稽古は「どん底」から。

 「どん底」は、ロンドンの下層階級の人たちが集まるカムデン・タウンにある、セクシーな女の人たちが一杯いるお店の名前である。ジキルが新薬の実験のことで思い詰めているのを心配して、親友の弁護士アターソンが強引にジキルを連れ出すことになる。
 
今回アターソンを演じるのは石川禅さんで、マルシアさんの演じるルーシーは「どん底」の女の子の1人である。実際の上演では薄暗い場面なので見通しが利かないと思うが、店内のあちこちで色んなことが行われている。それらの段取りを改めて確認し、昨日さらったミュージカル部分と合体させて一通り流れるところまでを稽古。

 その後、2幕冒頭の『事件、事件』をステージング。ハイド化したジキルが次々と人を襲う様を、ロンドン市民の混乱と絡めてモンタージュする、10分に及ぶ大ナンバーである。前回までの基本的な動きを叩き台にして、ウェッシーが新たにステージングし直している。
 『事件、事件』シークェンスは、全体で9つのブロックに分かれていて、連続殺人に恐怖する市民の様子とハイドの犯行場面が交互に現れる。その中で主要な登場人物の行動も手際よく見せていかなければならない。
 こういう手の込んだシーンの稽古には、それ相応の時間が必要となる。2/3ほど整理がついた所で、続きはまた明日。これは想定の範囲内。

 稽古後、本田美奈子さんのお通夜に。自分より若い人が先立つのは本当に胸が痛む。合掌。


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『ジキル&ハイド』通信 [日記/2005年]

11月7日(月)

 今日もミュージカル・ナンバーをさらう。カムデン・タウンの娼窟「どん底」で、マルシアさん以下、娼婦たちが歌い踊る『連れてきて』と、幕開き直後の大ナンバー『嘘の仮面』の2曲である。

 『ジキルハイド』の振り付けは上島雪夫さん。帝劇の『マイ・フェア・レディ』を開けるや否や『ジキル・・・』の稽古に突入し、この後も『プレイバックpart2~屋上の天使』が控えている売れっ子である。
 根本的には、この国に才能のある振付家が不足している構造問題なのだが、それにしてもウェッシー(私は上島さんをそう呼んでいる)は多忙を極めている。ちなみに私とウェッシーが組んだ作品には 『サウンド・オブ・ミュージック』  『南太平洋』  『I Do! I Do!(川崎麻世さん&高嶺ふぶきさん版)』 『シェルブールの雨傘』 『世界中がアイ・ラヴ・ユー』『風と共に去りぬ』があり、来夏に『ダンス・オブ・ヴァンパイア』が控えている。

 ウェッシーと私は年齢も近く、お互いのキャリアの初期からの付き合いなので、ざっくばらんに話せるのがありがたい。何よりもミュージカルの作り方について共通点があるので、それが長く続いている最大の理由であろう。

 さて、明日はドラマ部分の稽古もスタート、ステージングも2幕の大曲『事件、事件』が控えている。


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『ジキル&ハイド』通信 [日記/2005年]

11月5日(土)

 本日より立ち稽古。まずはミュージカルナンバー3曲のステージング、と言うか、思い出し。

 『嘘の仮面/リプライズ1』『同/リプライズ2』、そして『生きている』の前半部分の3曲で、前回より3年近いブランクが空いている所為か、私を含め出演者一同、覚えているようで結構忘れている。
 乱暴なようだが、いきなり音楽で動いてみると、身体が覚えていると言うのか、さまざまなアクションやタイミングが蘇って来る。そのプロセスは何かのリハビリテーションに参加した様で、結構感動的でもある。
 細かな手順を思い出した後は、それの更なるブラッシュ・アップ。「再演」とは、前回の単なる再現ではない。演出のコンセプトに変化は無くとも、その表現には演じ手、作り手の「いま」が反映されてくる筈である。

 再演には再演ならではの面白さがあるのである。


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『ジキル&ハイド』通信 [日記/2005年]

11月4日(金)

 ミュージカルナンバー入りの読み合わせ。

 立ち稽古に入る前に、全体を繋げて作品の流れを掴んでおくための読み合わせである。実際に台詞とナンバーを繋げてみると、舞台上の様々な事が蘇ってくる。俳優たちもそうであったらしい。
 鹿賀さんのジキル/ハイドは今まで以上にその変化が明確になっている。表面的な差を出すことよりも、もっと内面のことに集中して演じてみているのだそうだ。
配役の変わった石川禅さんは、実はとても緊張していたようだ。そんな風には全く見えなかったのだが。
 そして今回から参加してくれる鈴木蘭々さん、宮川浩さん、石山毅さん、平澤由美さん。耳に馴染んだ台詞や歌が新鮮に聞こえてくる。新たなキャストと新たに役を作っていくのも再演の醍醐味のひとつである。

 明日からの立ち稽古が楽しみになってきた。


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『ジキル&ハイド』通信 [日記/2005年]

11月3日(木)

 明日の読み合わせに備えて、再度全員でヴォーカル稽古。

 『ジキルハイド』の魅力は、なんと言っても音楽の素晴らしさに尽きる。その音楽の美しさ、力強さに負けないためには、音楽に流されず、音楽をコントロールする技量が要求される。そのために、3週間にも渡って音楽だけの稽古を続けてきたのである。

 前回の再演時にライヴ収録されたハイライトCDが、東宝のホームページなどで入手可能である。とてもクォリティの高いCDなので、興味のある方はどうぞ。


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『ジキル&ハイド』通信 [日記/2005年]

11月2日(水)

 実寸の取れる稽古場に引っ越したのだが、今日もヴォーカル稽古。今日は鹿賀さん、マルシアさん、蘭々さん、石川禅さんの少数精鋭で、1曲1曲を丁寧に、歌い方の癖などを矯正しながら稽古。
 平行して、ギミックの南さんと特殊効果の打ち合わせ。南さんは劇団☆新感線の特殊効果を一手に引き受けている特殊効果マン。『ジキルハイド』は大勢のプロフェッショナルたちに支えられて成立しているのである。


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『ジキル&ハイド』通信 [日記/2005年]

11月1日(火)

 昨日まで帝劇地下の稽古場を使用していたのだが、立ち稽古を控えて、舞台の実寸が取れる広い稽古場に引越し。演出部の皆さんは1日かけて、小道具を搬入したり、リノリウムを張り込んだりしてくれた。
 夕方からは衣裳デザインの小峰リリーさんがいらして、蘭々さんの衣裳合わせ。衣裳を着けると、普段見過ごしている蘭々さんの端正で古風な顔立ちが見えてくる。3代目のエマも期待大である。

 作業後、稽古場近くにある、舞台監督の染谷さん馴染みの「ちゃんこ鍋屋」に繰り出して、演出部一同と気勢を上げる。初演、再演の思わぬ裏話が続出して、大いに盛り上がる。みんなが『ジキルハイド』を愛しているのがひしひしと伝わってくる。


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『観劇記』/10月 [観劇記/2005年]

『バクマツバンプー 幕末蛮風』 東京グローブ座
 今時のチャンバラ活劇。決して楽しくないわけではないのだが、私はこのスタイルの舞台には中々感情移入できない。荒唐無稽を目指す芝居に難癖をつけるつもりも毛頭ないのだが、そうなると芝居のチャームポイントも弱点に見えてしまい、他の観客ほどは盛り上がれない。
 京晋介さんが水を得た魚の様でひたすら愉快で、有森也実さんは意外な役どころが新鮮だった。

『ツキコの月 そして、タンゴ』 帝国劇場
 大盛況の帝劇は補助席が出ていた。キャパシティ2000の劇場をストレート・プレイで満席にしたのは企画の勝利。ただし、企画の上手さが上演成果に反映されていない。印象的な場面も幾つかあるが、話の繋がりが甘く、盛り上がらない。豪華な顔ぶれも生かされきれず、惜しい。

『宮敬TIME』 南青山ル・アンジェ教会
 宮川浩さんと堀内敬子さんのジョイントライブ。「宮敬」で「きゅうけい」と読ませる。雰囲気の実に良い会場で、2人の人柄そのままのアットホームな時間が流れた。それにしても堀内敬子さん、あなたの醸し出すユーモアは誰にも真似できません。

『歌わせたい男たち』 ベニサンピット
 永井愛さん率いる二兎社の新作。相変わらず全ての水準が高い。出演者も全員好演。この芝居の価値は10年後、20年後に更に高まる筈である。

『パパ、I Love You』 日本大学芸術学部中講堂
 演劇学科4年生による今年度の卒業制作の1本。空回りしやすい翻訳劇のコメディでちゃんと客席の笑いを取ったのは立派。舞台美術が素晴らしく、それをスマートに見せた照明も見事。勿論欠点も多いが、それを補って余りある勢いがあった。無料公演。

『るつぼ』 日本大学芸術学部中講堂
 これも演劇学科4年生の卒業制作公演である。シリアスなテーマを持つ3時間半を超える大作に真摯に取り組んだ姿勢に拍手。ただし、注文は幾つかある。何よりも台詞がこちらに届いてこない。登場人物それぞれの立場と信条が不鮮明だからであろう。現代の社会状況にも繋がる作品だけに、惜しい。無料公演。

 

「共通テーマ」「演劇」があるのに今頃気付いた。遅ればせながら「演劇」に引っ越します。


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『ジキル&ハイド』通信 [日記/2005年]

10月30日(日)

 ヴォーカル稽古がスタートして既に2週間が経つ。メニューも順調に消化され、今日は全員が揃って、ストーリーを追いながらのヴォーカル稽古。

  『ジキルハイド』の声楽指導は北川潤さん。『オケピ』の初演や『ローマの休日』などでは俳優としても登場していたので、ご記憶の方もあるだろう。我が国ミュージカル界の歌唱指導の第一人者であり、かつてハロルド・プリンスから「ピッコロ・パバロッティ」のニックネームを授かった人でもある。
 8月末の製作発表のトークでもお話したのだが、日本語は音楽との相性のとても悪い言語である。そのミュージカルには適さない日本語でミュージカルを作ろうとする時、日本語とメロディの相性の悪さを克服するためには、北川さんのような特別の能力を備えたスタッフが必要になる。
 歌唱指導者と言うと「声を出す技術をコーチする人」だと思われ勝ちだが、北川さんは、そのことを指導した上で、「ではどうすればミュージカル・ナンバーが日本語の言葉として聞こえてくるのか」を追求する。日本語でのミュージカル作りには欠かせない、とても貴重なプロフェッショナルなのである。

 紀伊国屋ホールの『竜馬の妻とその夫と愛人』が千秋楽。稽古後、打ち上げに顔を出す。このチームは明日より、いよいよニューヨークまで続く旅に出る。まずは竜馬の故郷、高知へ!
 道中の無事を心より願う。


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『竜馬の妻とその夫と愛人』便り [日記/2005年]

10月25日(火)

 休演日を利用して、山口良一さんの役代わり舞台稽古。

 山口さんの松兵衛は、昨日までの平田満さんとは一味違う、気が弱いのか図々しいのか、どっちだ! と突っ込みたくなるような松兵衛である。山口さんは連日、本番中に劇場の音響ブースに篭って、本番の進行に合わせて1人で台詞を喋っていた。その甲斐あってか、今日の舞台稽古も概ね順調で、楽しい仕上がりであった。

 紀伊国屋ホールでの公演は、明日26日より30日まで。


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『竜馬の妻とその夫と愛人』便り [日記/2005年]

10月24日(月)

 平田満さんの東京公演千秋楽。

 今日もとても大きなアクシデントがひとつあったのだが、カーテンコールでB作さんが仰った様に、暖かいお客さんでよかった! 私が観に行くと、どうも何かが起こるらしい。こうなったら毎日観に行ってやるか?

 それはともかく、平田さんお疲れ様でした。と言っても、東京の次の四国公演から、すぐに平田松兵衛は復活である。東京で平田松兵衛を見逃した方は四国へどうぞ。


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古賀宏一舞台美術展 [日記/2005年]

10月21日(金)

 古賀宏一さんは日本を代表する舞台美術家の1人であった。2002年の5月に惜しくも71歳で亡くなられたが、その古賀さんの足跡をデザイン画(「道具帖」と言う)で偲ぶ資料展が江古田の日本大学芸術学部資料館で行われていたので出掛けた。

 古賀さんは我が国舞台美術界の巨人伊藤熹朔さんの弟子で、大劇場の所謂商業演劇をお仕事の主体とされていた。生前、私も何度かご一緒する機会に恵まれたが、大変温厚なお人柄で、個性の強い人たちの多い舞台美術家の中にあっては、それがむしろ古賀さんの個性であった。
 並べられた道具帖はどれもみな端正で美しく、そして道具の作りが一目でわかるように描かれている。現在では舞台美術のデザイン手法も多様化し、CADデータなどで発注されることも普通になって来たが、かつての舞台美術界では、1枚の道具帖(舞台正面図)さえあればそれで事足りたのであった。

 古賀さんは晩年までとても精力的にお仕事をされていたので、手掛けられた舞台の数も膨大なものになるだろう。出展されていた作品の中では、私は『細雪』と『放浪記』が印象に残っている。
 『細雪』は、私が日大芸術学部を卒業し(正確には卒業目前の2月だったが)東宝演劇部に所属したその月の、最初に配属された東京宝塚劇場で上演されていた作品で、私は劇場の大道具さんたちに混じってこのセットを押していた。
 そして『放浪記』。今年の3月に、今は無き芸術座で観た、未だ現役のセットである。

 デザインは時代と共に移り変わって行くものである。古賀さんの様なスタイルの舞台美術家はもう2度と現れないだろう。それでいいと思うし、ならばせめて、このような美術展が繰り返し催されることを願って止まない。

 資料館を後にして、同じ江古田キャンパス内の中講堂にて、演劇学科4年生による卒業制作『パパ、I Love You』を観る。
 『パパ、I Love You』は、イギリスの劇作家、レイ・クーニーによる大爆笑ドタバタコメディで、私が昨夏に手掛けた 『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー~パパと呼ばないで』と同一の作品である。感想は省略するが、観客は手を叩いて笑っていた。上演の目標は達成できたのではないだろうか。


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『サタデー・ウエイティング・バー』そして『ジキル&ハイド』 [日記/2005年]

10月18日(火)

 TOKYO FMで、毎週土曜日の17時からオン・エアされている『サタデー・ウエイティング・バー』と言うトーク番組があるのだか、ゲストに招かれ、その収録。
 『サタデー・ウエイティング・バー』は、都会のレストランのウエイティング・バーを舞台に、そこに集まる客たちの日常会話を盗み聞きする、と言うスタイルの番組で、「演出・監督」と言うテーマで、どうでもいいような雑談を収録してきた。オン・エアでは興味を惹きそうな部分だけが編集されて、私を含む何組かの客の日常会話としてリスナーに届けられることになるのだそうだ。
 放送予定日は10月22日(土)だが、自分の声を聞くのは実に照れ臭い。

 その後、東宝演劇部にて『ジキルハイド』の打ち合わせ。美術の大田さん、照明の高見さん、音響の大坪さん等と、今回の再演に向けての総合的な確認作業。
 3演目となる今回も、今まで同様大きな変更はせず、細部のクォリティを更に高めていこうと考えている。既に新しい出演者たちのヴォーカル稽古もスタートしており、遅ればせながら私もジキ・ハイモードに突入。


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東京初日、そしてNYへ!『竜馬の妻とその夫と愛人』 [日記/2005年]

10月13日(木)

  東京公演初日。

  毎度のことではあるが、スタッフは最後の最後まで直しの作業。その後、初日のお祓い。本番前に一通り台詞を合わせ、そして開幕。映画や『12人の優しい日本人』などで多忙な三谷君がようやく観に来てくれた。
  大きなアクシデントがふたつ、細かいものは無数にあったものの、暖かい客席に助けられて何とか幕は下りた。三谷君も満足そうであった(抱えている仕事のことで頭が一杯で、竜馬の妻とその夫と愛人』どころではなかっただけかもしれないが)。

  終演後、劇場ロビーにて初日の乾杯。既に新潟で2ステージこなしていたとは言うものの、やはり緊張や気負いがあったのか、この乾杯でようやくホッとした空気が漂った。
  散会後、何人かは次の店に流れ、私も少しだけ付き合わせていただいたのだが、こういう時間は格別である。芝居作りの苦労と、観客の喝采でそれが帳消しになった興奮、そしてその余韻を分かち合う仲間・・・。

  だから芝居は止められないのである。

  これで『竜馬の妻とその夫と愛人』通信は終了である。いつもながら、お付き合いくださってありがとうございました。
  と言っても『竜馬の妻とその夫と愛人』のツアーは始まったばかり。東京公演も10月30日まで続く(26日からは山口良一松兵衛の登場である)。更に全国各地を半年かけて巡業し、そして来年の10月、ツアーのフィナーレとして遂にニューヨーク公演が実現する。ニューヨークだよ、ニューヨーク

  その間の様々な出来事は、東京ヴォードヴィルショーのホームページ内BBSで、ツアーに随行している若手役者・時吉が報告してくれるらしい。
  こちらもぜひご覧ください。


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『竜馬の妻とその夫と愛人』通信 [日記/2005年]

10月12日(水)

  スタッフワークの続き、そして舞台稽古。

  照明のデータ修正を中心に、大道具の直しやサウンドチェックなどを行った後、場当たり稽古、そして通し舞台稽古。
  私は20年以上この仕事を続けているにも係わらず、紀伊國屋ホールで芝居をするのは今回が初めてである。この劇場で最初に見た作品が何だったのか、今となってははっきりと思い出せないが、当時のつかこうへい事務所による『熱海殺人事件』を観たのが高校の時だったのか、大学に入っていたのか・・・。
  その時の出演者の1人、平田満さんが目の前にいらして、今では一緒に仕事をしている。なんだか不思議な、現在の方が夢のような、そんな感覚である。

  さて、舞台稽古も滞りなく終了。明日は東京公演の初日である。


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『竜馬の妻とその夫と愛人』通信 [日記/2005年]

10月11日(火)

  紀伊國屋ホールの仕込み、照明のフォーカシング。

  道具調べ、照明デザインは新潟で一通り終わっているのだが、劇場のサイズ、空間が違っているので、紀伊國屋ホールに合わせて舞台美術や照明を当て込み直す作業である。
  と言っても、もとより予定されていた劇場なので、困難な作業ではない。新潟で遣り残した細かな直しなども含めて、余裕のあるペースで進行している。

  今日の様に現場にゆとりがあって、尚且つ主催者の許可が取れた場合、仕込みの作業などを日大芸術学部の私の生徒たちに見学させている。私は教育者としてはアマチュアだが、芝居作りはプロである。生徒たちが将来この道に進むとは限らないのだが、プロの現場に接する事で、彼等、彼女たちの好奇心が少しでも刺激されてくれれば、と考えている。

  私の場合、学生時代に一番面白かったのは、現場の人たちによる授業だったから。


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『竜馬の妻とその夫と愛人』通信 [日記/2005年]

10月9日(日)

  りゅーとぴあ2日目。今日は昼の公演。

  今日は新潟マラソン大会で、りゅーとぴあ周辺では車の乗り入れが禁止されていた。隣の新潟市陸上競技場がスタート・ゴール地点だったからである。新潟は昨日とは打って変わった好天で、楽屋の窓を開けるととても爽やかな風が流れ込んだ。

  俳優たちは、適度に力が抜けて更に良い感じであった。客席の反応も上々で、これで芝居のペースを掴むことができたのではないだろうか。

  終演後は直ちに撤収作業。旅公演に慣れたチームなので、手際は至って良い。今日中に帰京して、明日は紀伊國屋ホールの搬入である。


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祝! 初日『竜馬の妻とその夫と愛人』 [日記/2005年]

10月8日(土)

  初日。

  夜本番なので、スタッフは昼前から大道具に最後の手を入れ、照明デザインの修正などを施す。役者さんたちは開演の3時間前から体操。関係者全員が参集してのお祓いは2時間前。各セクションが全てを整えた後、18時30分に開場、定刻を5分遅れて19時05分に開演。

  ほぼ満席の客席は、とても熱心に、そして温かく芝居を見てくださった印象。舞台の方は、大ベテランたちが、やはりそれでも緊張したのか、いつも以上に力が入っている様子で、私はおかしさを噛み殺しながら、同時にちょっと感動しながら最後尾に座っていた。
  後で聞くと、皆さんやはり相当に緊張していた様で、でも、いつまでもそうでいられる事が素晴らしいと思う。

  終演後は、昨日の舞台稽古後とは打って変わって物静かな役者さんたちであった。達成感と、それをやや上回る疲労感を全身で受け止めていたのであろう。それでも、ささやかな祝盃を上げるために繰り出すことになり、「新潟はやっぱり日本酒でしょう」と、昨夜と同じ展開になったのであった。

  開演前の時間を利用して、美術の石井さん、照明の宮野さん、舞台監督の岡さん、演出補の添田さんたちと『竜馬の妻とその夫と愛人/別キャストバージョン』の美術打ち合わせ。
  この『別キャストバージョン』のことは劇団のホームページで既に告知されているが、劇団の若手俳優たちが配役され、来年の1月末に下北沢のザ・スズナリで公演される予定である。近々詳細も発表されると思うので、どうぞご期待ください!


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『竜馬の妻とその夫と愛人』通信 [日記/2005年]

10月7日(金)

  照明合わせの続き、そして舞台稽古。

  朝から照明合わせを中心にしたスタッフワーク。一通りの作業を終え、14時から場当たり稽古。諸々が順調で、通し舞台稽古を30分繰り上げて18時30からスタート。
  りゅーとぴあは、観易く、台詞も良く通る。舞台の裏表共にゆとりが有り、東京にもこんなタイプの劇場が欲しい、と思わせる。観客の前で演じられるのがとても楽しみになって来た。

  今日の作業を全て終えた後、B作さんの主催でスタッフ&キャスト食事会。プランナー全員が揃い、しかも終電の時間を気にしなくても良い最初で最後の機会であろう。珍しく私も、勧められるままに日本酒を飲んだ。新潟はやはり日本酒であろう。それと、烏賊ね。

  さあ、いよいよ明日は初日。無事に幕が下りますように!


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『竜馬の妻とその夫と愛人』 [日記/2005年]

10月6日(木)

  新潟市民芸術文化会館「りゅーとぴあ」にて仕込み、道具調べ・照明合わせ。

 私は「りゅーとぴあ」は初訪問であった。東京でも「りゅーとぴあ」から発信された作品を見かけるので、その名前だけは知っていたのだが、新しく、そして設備の整った使い易そうな劇場である。舞台、楽屋裏、ロビーもゆったりとした作りで、劇場周辺の環境も良く、空き時間の散歩にも都合が良い。

  私は今日新潟入りしたのだが、スタッフは昨日の内に新潟入りして、朝一より搬入、そして仕込み。半日かけて大道具を立て込んだ後は、照明チームのフォーカス合わせ。そして、それらの合間を縫って音響チームの測定作業・・・と、舞台稽古前の作業が一通り、順調に進行。
 
今回は再演で大幅な変更も無いので、各セクションとも効率よく、穏やかに時間が流れた一日であった。


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『竜馬の妻とその夫と愛人』通信 [日記/2005年]

10月4日(火)

  稽古場最終日。

  今日は先に山口さんチームから、久しぶりにシーン1をおさらい。その後、平田さんチームの通し稽古。
  これで先月10日から始まった稽古の全行程を終了、上演時間は1時間50分程度になりそうである。後は劇場で、スタッフワークを絡めた最後の仕上げを残すのみとなった。

  稽古終了後、焼肉屋で軽く稽古打ち上げ。スタッフと劇団の若手は、稽古場を撤収して荷出しした後に合流。ご苦労様でした。

  さあ!  いよいよ来年の6月まで続く東京ヴォードヴィルショー史上最長のツアーの始まりである。まずは新潟、りゅーとぴあへ出発!


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『竜馬の妻とその夫と愛人』 [日記/2005年]

10月3日(月)

  通し稽古3日目。

  平田さんもB作さんも力が入っていた(褒め言葉です)。殺陣の國井さんや、、初見になる照明チームなど、ギャラリーが多かった所為か。それが役者の性と言うものなのか(褒め言葉です)。
  それはともかく、芝居の仕上がりは至って順調で、稽古も粘る必要がなく、従ってここに書くような出来事も殆どない。

  嬉しい悲鳴、と言えよう。

  夜の部はシーン2を一通りおさらい。山口さんは、時間が有れば平田さんヴァージョンの稽古に付き合っている。その甲斐もあってか、1週間程の稽古で「良くぞここまで」、と言う進歩ぶり。


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『竜馬の妻とその夫と愛人』通信 [日記/2005年]

10月2日(日)

  本日も通し稽古。

  昨日予測したほどガタガタではなかったが、やはり昨日の方が上手く流れた感じ。ちょっと疲労が溜まっている所為か。
  コメディを作る難しさは、観客の反応を予測しながら稽古しなければならない所にある。今の時点で仕上がりには何の不満もないが、果たしてこれで観客は笑ってくれるだろうか。こちらの意図通りに理解してもらえるだろうか。

  早く観客の前で試してみたい気持ちに駆られているのは、恐らく私だけではあるまい。

  夜の部はようやくラストシーンまで辿り着いた。と言っても、山口さんの初日は3週間も先のことなのだが。


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